外国人技能実習

技能実習制度の廃止!?

技能実習制度の廃止

以前から問題が指摘されてきた技能実習制度ですが、今後の動向として技能実習生制度が廃止される可能性が出てきました。
令和4年12月14日から開催されている「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の中間報告として政府に提出された報告書の中で、技能制度の廃止についてが言及されています。

技能実習制度廃止後、新たな制度は人材の確保と育成を目的とし、名称も「育成就労制度」に変えるとしています。
「育成就労制度」の在留期間は3年の予定で、就労開始から1年以上かつ、一定の日本語能力などがあれば転職が認められる可能性があります。
従来の技能実習制度では原則転職は認められていなかったので、この点は実習生目線でいうとメリットといえます。

一方で、デメリットもあります。

従来の技能実習制度では3年間の実習が終わった後は、同じ職種の特定技能であれば試験が免除されるという制度設計でした。しかし、新しい「育成就労制度」では、3年間の就労が終了した場合でも特定技能に移行するためには2つの試験(技能試験、日本語試験)の合格が必要になるようです。

有識者会議で検討される方向性としては「技能実習制生度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討するべき」とし、人材確保は特定技能よりの目的、人材育成は技能実習よりの目的となるため、新制度は特定技能と技能実習を合体させたような制度というイメージです。

技能実習制度と廃止後の新制度をわかりやすく比較した表が下記のとおりです。

項目 技能実習 育成就労
制度の目的 国際貢献・技術の転移 人材確保と人材育成
受け入れ可能な職種 88職種161作業
(※移行対象職種)
特定技能と同一分野
移行条件 ・受入れ前→
6ヶ月以上又は360時間以上の講習
・技能実習2号への移行→
技能検定基礎級の合格
・技能実習3号への移行→
技能検定3級の合格
・受入れ前→
N5レベルの日本語能力
・受入れ後1年以内→
技能検定基礎級合格
・特定技能1号移行→
日本語能力A2(N4)+技能検定3級or特定技能1号評価試験
・特定技能2号移行→
日本語能力B1(N3)+技能検定1級or特定技能2号評価試験
転職・転籍 原則不可 同一企業で一年以上の就労後、転職可能
受け入れ人数枠 受入れ企業の規模に伴って上限あり 技能実習に準拠
支援・保護のあり方 外国人技能実習が管轄 外国人技能実習機構を改組し、外国人の支援・保護を強化した支援体制を整備した新たな機構へ

ここまで育成就労に関する最終報告書についてお伝えしてきましたが、現状はあくまでも「案」であるため、制度が決定された時点で内容が変更になる可能性も十分にあり得ます。

育成就労の開始時期は国会での審議の進み具合により前後するかと思われますが、今のところは2025年4月以降、もしくは2026年の4月以降といわれています。技能実習から育成就労への移行は緩やかに行われると考えられますので、現状技能実習生の受入れに関して制限する必要はありません。

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